2018年7月20日金曜日

『再生ミセスフィクションズ2』のDVD

今日、家に帰ったら、届いていた!ほんとにくれたんだ!いや、北とぴあで見たMrs.fictionsのこの公演を予約して、そのとき希望すると映像化したDVDを送ってくれるというサービスがありまして。この短編集はどれも傑作揃いで満足度100%なのに、そんなのわざわざ無料でやらなくても…とも思ったので、ほんとにくれたんだ!という感嘆の声になってしまいました。で、ディスクを機械に入れてボタンを押すと『男達だけで踊ろうぜ』が再生されるわけですけど、もうね、二度目なのでストーリーはわかってるし、途中から全力号泣モードですよ!「いいか、そこの柔らかい生き物!俺たちはな、この町に産まれた時点で糞みたいな人生が約束されてんだ!」ああ、もう!この「柔らかい生き物」というフレーズにグッと来ますね!ありがとうございます。来月には、長編作品『月がとっても睨むから』を上演するそう。8/17(金)〜8/20(月)、小屋は下北沢駅前劇場。おすすめ!

2018年7月18日水曜日

角度 ANGLE

大象體操ELEPHANT GYM/Universal Music/2,100円+税
Twitterで流れてきたライブ映像が良かったので、CDを購入。ELEPHANT GYM、台湾のインストゥルメンタル・バンド。本作は2016年リリース、初のフルアルバムだという。優れたテクニックをもつ瑞瑞しい演奏、豊かで軽やかなセンスを感じさせる音作り。MVはググッたらすぐ拾えると思います。たとえば、ロンドンの有望な若手ミュージシャンだと、熟練のプロデューサーやらエンジニアやらが完成度の高いデビュー作に仕上げたりするけど、そんな感じじゃないのが逆に好印象。日本の若手だって、このデビューアルバム、外部のサポートミュージシャンが自分色に染めようとしてない?って感じることもある。まぁ俺、音楽業界のことなんて知らないからCDを聴いた印象に過ぎない。ただ、その限りで言うなら、この『角度』を聴き終えて、もっとインパクトを与えるアルバムにできたんじゃない?って感触がないわけではない。欲深いだけかもしんないけど。それに、そういう隙間を埋めてしまうことが余計な完成度につながるのかもしれない、とも思う。大事なのは本人たちの持ち味なんだから、そこはアーティスト主体で傍若無人にやり切っていればオッケー。このELEPHANT GYMの3人もそういう「エゴイズム」を上手に育てて行けば、今後も期待できるんじゃないかなぁ。

2018年7月16日月曜日

難問

オウム犯の死刑執行ショーや広域災害のあからさまな軽視などがあっても内閣支持率がさして変わらないならば、それは今の日本人の約3割は正しく安倍シンパor自民シンパということなんだろう。そして、安倍の後を継ぐ自民党の首領にどれだけカリスマがあるかによってその覇権が続くかどうかが決まる。権力委譲が成功すれば、彼らがまたどんな酷い政治をしても、シンパは「野党より小泉Jr.のほうがマシ」なんて答えるに違いない。おそらく根拠はない。シンパだから。ただ、その政治の行方は新自由主義の生き地獄なんだけどね。そんな日本政治の現状は認めざるを得ない。じゃあどうすりゃ良いのか?ということを考えている。

敗北のイメージ

サッカーW杯ロシア大会、終了。今回は日本代表がそれなりに持ち味を発揮してくれたのがなにより僥倖。大会前、岡田武史が日本の期待する選手として乾貴士を挙げ、自分がJリーグの監督をしていた頃の乾には優しすぎるところがあったが、スペインに渡って成長したところを見せてくれるんじゃないか、と語っていて、みごと期待に応えた。でも、戦いの合間にはやっぱり優しい青年であるところも垣間見たような気がするし、優しいまま強くなれるんだよな、と思った。日本代表としても、W杯サッカーの弱小国から見所のある中堅国くらいには格上げされたんじゃないだろうか。日本戦以外に見た中では、ベルギーvsブラジルが記憶に残った。あのゲームはブラジル代表が自滅したわけではないということが重要で、それゆえにブラジル(とドイツ)がもう絶対的な存在ではない、新しい時代を感じさせる大会になったはずだ。クロアチアの攻撃的サッカーも好きだったし、トーナメント3試合連続の延長戦を生き延び、その果てに燃え尽きる様がほんとにサッカーらしくて素晴らしかった。優勝しなければすべてのチームが必ず一度は負けるのだから、勝利のために必死に戦い、いかに敗北するかというそのイメージこそがわれわれの記憶を価値あるものにするのだと思う。

2018年7月4日水曜日

南京事件

笠原十九司 著、岩波新書、800円+税
秦郁彦 著『南京事件「虐殺の構造」』(中公新書)がめちゃくちゃおもしろく、もう一冊読みたくなったのでこれを選んだ。南京事件本の何がおもしろいかというと、事件のインパクトはもちろん、歴史書として読むと、当時の日本軍が最悪の方へ最悪の方へと転がり落ちていく不可逆的なホラーストーリーのようでグッとくる。その意味で、中公新書のボリュームは充実していたし、この岩波新書も全体像を簡潔に捉えた好著だと思う。たとえば、最近の日本の政治状況を見るにつけマスメディアの責任も無視できないが、南京事件に関してはどうだったんだろう?と読むと、こんなふうに書いている。

《日本のマスメディアも南京攻略戦に便乗して、南京戦報道のための大規模な報道陣を戦地に送りこみ、従軍記者に少なからぬ犠牲者を出しながら、「南京城に日章旗が翻るまで」という報道合戦を繰りひろげ、戦意高揚をはかった。南京へ進撃する皇軍の連戦連勝のはなばなしい捷報が連日報道されるなかで、国民の戦勝・祝賀ムードが必要以上に煽られた。国民は、拡大派の喧伝する「中国一撃論」に幻惑されて、南京が陥落すればあたかも日中戦争が決着して日本が勝利するかのような期待感をいだくようになり、官庁・学校は南京陥落祝賀行事を計画して、提灯や垂れ幕の準備をはじめ、さながら南京をゴールとする戦争ゲームでも観戦するように、日本軍の進撃ぶりに喝采をあげ、早期南京占領を待った。》(本書 75-76p.)

しかし、南京戦に突入する日本軍の現実は部隊のガバナンスも兵站もままならなず「徴発」といって、実質、中国の民家から物資を略奪しながら行軍するような状態だった。そこから暴力や強姦や放火や大量殺戮などの悪魔の所業が産み出されていくわけで、そもそもその日本軍を南京へ駆り立てたのは何なのか?を考えると、軍部指導者の暴走のみならず、新聞売上げのために国民を煽ったマスメディアの責任も果てしなく大きい。日本の戦争には被害者の側面と加害者の側面があるはずであり、後世のわれわれは『この世界の片隅で』みたいな被害者視点の話なら皆感動して受け入れるが、加害者視点の話はなかなか受け入れ難い。そこにまたもやマスコミ受けを狙った連中が「俺たちの優しいじいちゃんがそんな酷いことするはずないじゃないか!」と歴史否認を主張し始める。もう、その繰り返しなのだ!そういう人間心理の脆弱さを見つめるためにも歴史の闇を語る南京事件本は価値があると思う。

2018年7月1日日曜日

毒きのこの鳥

なかないで、毒きのこちゃん「さけとなみだととおとことおんなと、」のボーイ編を追加公演するというので、朝から中野RAFTへ行って来た。短編3作品中「鳥」(鳥皮ささみ)っていうのが、どストライクで好み。演技は長台詞も多く、いわゆる芝居掛かった迫真さというかそういうトーンで喋るんだけど、言葉遊びを意識したりしながらどこかすっとぼけた感覚ももっていて、その塩梅がたまらなく良い。で、芝居が終わると最後にニール・ヤングの名曲が流れる。終演後はチャリを漕ぎながら帰ったんだが、ついつい今聴いたメロディを口笛で吹いたりして、やっぱ良い曲だよなーとか思ってると、あれ?なんかいま俺、泣いてね?と自分の感情が静かに揺さぶられていることに気づく。いやー上手いよなー狡いよなー、クソ最高でした、本日の毒きのこ。
で、その名曲はこちら。再演する時は、音楽、変えるなよー!(笑)

2018年6月11日月曜日

万引き家族

監督:是枝裕和、出演:リリー・フランキー、安藤サクラ ほか
ざっくり言って「分担する」というのがこの映画のテーマだと思うが、それは家族だから日常の家事や仕事を分担するというだけでなく、時と場合によっては、社会的に個人が背負うべきものまで分担することでわれわれのリアルな人生は成り立っている、という描写を徹底していた。それはそれほど今の社会が硬直しているということの裏返しかもしれない。この映画の家族は擬似的な家族であるが、擬似的であるからこそ「分担する」という行為が意識化され、そこに生まれる精神的絆の繊細な感触まで浮かび上がらせたのだろう。出演者はみな素晴らしかった。なかでも安藤サクラのアドリブ風の芝居には舌を巻いた。彼女はおそらく監督の共犯者とでもいうべき存在で、映画の核心に触れる何かを分担していたのだと思う。