2014年8月13日水曜日

日本映画史110年

本書は四方田犬彦「日本映画史100年」(集英社新書、2000年)の増補改訂版になるそうだが「100年」は読んでいなかった。でも「110年」を読み出して、ああ!とあらためて気づいたのは「映画史」ってめちゃくちゃおもしろいな、ということ。しかも、古くて見たことのない映画の話も抜群におもしろい。いや、むしろ、未見のものほど…。監督論ならその監督の作品を見ていなければおもしろくないし、俳優の自伝や評伝にしたって同じことだ。しかし、映画史とはたがだか100年、110年、つまり、人間が一生をまっとうするのと大差ない期間に、映画というメディア、音と映像のテクノロジーについて人々が何を考え、そのテクノロジーを通して何を見つめ、何を物語り、そのことが世界にどんな影響を与えたのかというストーリーであって、驚くほど濃密な、20世紀文化史最良のケーススタディに違いない。そして、そのテーマを「世界」ではなく「日本」に限定するということは、われわれの日本文化とは何なのかという問いでもあるのだろう。