2014年9月4日木曜日

「右側に気をつけろ」の音声


ジャン=リュック・ゴダール監督の「右側に気をつけろ」をBlu-rayで買った。日本では1989年に公開され、当時の俺は日比谷のシャンテシネにたぶん3回くらい見に行ったと思う。以後も、ビデオやDVDや再上映で何度も見ているので、まぁ青春の1本というところ。DVDも持っていたが、あることが気になって買い直してみた。

この映画は82分の作品なんだが、DVDでは78分だった。カットされたわけでもないのに、ヨーロッパ映画ではまぁよくある。これはフィルムの映像をデジタル化するときの問題で、ヨーロッパではPALという方式のビデオ映像を使っていて、日本やアメリカではNTSC方式。なにが違うかというと、PALは1秒25コマだが、NTSCは1秒30コマ。だから、PAL方式のビデオデータをNTSCのデータに単純変換すると25/30、つまり、約83%の時間に圧縮され、2割近く早送りの映像になってしまう。それでは見られたものじゃないのである程度補正することになるが、厳密な調整は難しいのか、たいていはNTSCの仕上がりのほうが数分短い尺に収まっている。

この「右側に気をつけろ」の場合も同じだろう。AmazonのDVDレビューを読むと、そのことが指摘してあり、さらに気になったのが、映画の中でナレーションをしているゴダール自身の声がオリジナルに比べて甲高いというのだ。言われてみれば、そんな気がしないでもない。でも、微妙な問題なので、ほんとうにそうだろうか?とずっと気になっていたのである。そこへ「HDニューマスター版」というふれこみのBlu-rayが発売された。上映時間も82分と書いてある。このディスクのマスターがNTSCなのかPALなのかは不明だが、仕上がりの尺に差がなければ、甲高い音になったりしないだろうと思って聴き比べてみたかったのである。

で、結果は、よーく聴くと、たしかに違う!へぇと思った。82分が78分になっても映像の視覚的印象はまったく変わらないのに、音なら聴き分け可能だということにちょっと驚いた。Blu-rayになって映像もきれいになったが、それでも記憶のフィルム映像とは誤差があるので、そこはあまり気にしない(フィルムだと多少の経年劣化も味だということになったりするし)。でも、音のニュアンスが正確なのはありがたいな。音の表現が重要なゴダール映画の場合は特にそう。