2014年10月24日金曜日

重力の虹


買った!

ピンチョンの代表作の新訳!

国書刊行会から出ている旧訳本も持っていたが、序盤だけ読んで、売り払ってしまった。翻訳が悪いからじゃない。俺にそんな判断ができるような語学力はなく、単に読みづらくて頓挫していた。そんな折、新訳が出るということを聞きつけ、少しでも読みやすくなってくれたら良いなぁと買い換えを決意したのだと思う。だから、手元に旧訳本がないので比較もできないけれど、新訳の書き出しはこんな感じだ。



 一筋の叫びが空を裂いて飛んでくる。前にもあった、だが今のは何とも比べようがない。
 いまさら手遅れだ。〈疎開〉は続くが、ただの見てくれでしかない。列車の中は真っ暗。わずかな光もない、どこにもだ。頭上に組み上がった鋼材は鉄の女王と同じくらい古び、そのはるか上にガラス屋根。昼間なら光を通すだろうが今は闇だ。ガラスが落ちてきたらどんなことになるだろうかと不安になる——もうすぐ——壮観だろう。水晶宮の崩落。漆黒の中にかすかなキラメキもないまま起こる、巨大な不可視のクラッシュ。



かっちょええ!

物語の舞台は第二次大戦下のロンドン。〈疎開〉というのだから、戦火を逃れての列車の中だろう。そしてそこに不意に「水晶宮(クリスタルパレス)」のイメージが重なる。水晶宮とは第1回ロンドン万博の会場として建てられた鉄骨とガラスの建築物で、1936年に火災によって失われてしまったという。

まるでゴダール映画のモンタージュだ。