2014年11月20日木曜日

ライバルは「ラ・ジュテ」

『ラ・ジュテ』
映画ではないのだが、劇団だるめしあんの『ぼくの彼女がこんなに浮気なわけがない』という演劇作品を本当に素晴らしいと思ったのは、なにをおいても、そのベースとなったシェイクスピア作品(『オセロー』)にささやかな反抗を試みているところだった。伝統の真の意味での継承というのは、過去の歴史の賞賛のみでは絶対にダメで、その歴史を更新する意志とともにあらねばまったく無意味だと思う。芸術における新たな創造も批判精神抜きにはありえないからだ。

いま作っている映画『disposal』に関してもやはり歴史、映画史の存在は大きい。企画を進めるにあたり、主演の西村俊彦氏に参考に見てもらったのは1962年の『ラ・ジュテ』という作品だった。知る人ぞ知る映画史上の名作の一本である。が、その後、この映画について突っ込んで語ることはなかったし、俺も製作の過程で思い出すようなことはほとんどなかった。というのも、それは『ラ・ジュテ』の劣化コピーを作ることが自分たちの目的ではなく、むしろ、それを超えるようなものを作りたいと考えたからだ(恥ずかしいので、そういうこと自体も口にはしなかったけれど)。お手本というよりも、先達をライバル視していたというか。

もし良かったら、『disposal』の試写にいらっしゃる前に、『ラ・ジュテ』のDVDを探して見てみてほしい(こちらも短編なのでネットに全編上がってたりするが、日本語字幕が付いていないので)。そして、観客に委ねるしかないその勝敗は、、、俺は死んでも負けたとは言わないよ!(笑)ただ、2012年に亡くなった『ラ・ジュテ』の監督クリス・マルケルに心から作品を捧げたい気持ちもある。そんなもんだ。

2014年11月15日土曜日

「disposal」試写のお知らせ


映画「disposal」の内覧試写を行います。本作は30分ほどの短編作品なので、他にも、西村俊彦氏のライブパフォーマンスなどを織り交ぜて企画しております。ご多忙の折とは存じますが、ご来場いただき、冬の夕べの一時を楽しんでいただければ幸いです。

なお、友人・知人・関係者限定につき、事前にご来場の旨をお知らせください(伊藤or西村へ)。座席数も限られておりますので、お早めにご一報いただけると助かります。定員に達し次第締め切りますが、ぜひこの機会にご高覧いただき、ご意見ご感想をお聞かせください。

日時:12月6日(土)18~20時(開場は17時45分)
場所:東京・阿佐ヶ谷 アート・アニメーションのちいさな学校地下劇場
カンパ:一人1,000円
主催:Quad Films

会場へのアクセス
東京都杉並区阿佐谷北2-12-19 聖観ビル地下1階
JR中央線・総武線 阿佐ヶ谷駅 北口より徒歩3分
*注意!当日は土曜なので中野~三鷹間は各駅停車をご利用ください!


1)阿佐ヶ谷駅北口を出て左、線路沿いの「スターロード商店街」に入る
2)居酒屋「かまどか」を右に曲がりまっすぐ
3)コインパーキングのある十字路を左に曲がると左手に地下劇場へ下る階段があります。

問い合わせ:伊藤まで

2014年11月6日木曜日

ロケット・マン


簡単に感想を。おもしろかった、けど、不満も残って採点するとすれば70点くらいかなぁ。このホン、光速宇宙飛行で生じるタイムラグをメロドラマの仕掛けに使っていて、それはもうとってもとってもナイスアイデア!でも、世の中にあふれる、というより過去にも数多の名作が書かれてきたメロドラマの歴史の末席に置くには、やや消化不良ぎみ。その最大の要因は、主人公と息子の関係にあまり突っ込まず、その人物を劇中で語り部、狂言回しとして使うのだが、その彼の存在がどうにもこうにも収まりが悪いところかな。「宇宙飛行士」という男の子にとってはロマンあふれる題材を扱うのだから、そこが余計気になる。とはいうものの、現実には十中八九は妻や孫娘との関係でそこが本作のメインテーマなのだから、本来もっと彼女たちとの間でなにがしかの重要な役割を果たし、物語を掘り下げてくれないと存在理由がないはずで、その存在理由が書き切れてないのにそれでも出すための理由をつけるため語り部として置いたというふうにも感じる。皮肉っぽく言いますとね。でもまぁ、たいてい語り部というのは劇中ではほんの端役だったりするわけで、そこらへんのバランス感覚はどうだったのだろう?俺には中途半端に感じた。映画だと狂言回しは基本画面の外にいるから良いけど、舞台では、いつも舞台の目立つところに立ってんだよね。なんかもうすげぇあいつジャマやなぁと思った(彼の語りが悪いとか下手とかいうわけではまったくなくむしろとても良い感じでしたが)。で、見ながらメロドラマとしてなかなかパッとしないなぁ、と思っていると、B級C級冒険活劇みたいなところを見せてくれるのかなぁといくらか期待させる展開なのだが、サスペンス的な構造や仕掛けはほとんど見当たらず、宇宙軍の内部闘争なんかもわりとベタッとした顛末で、というのはそれはやっぱりメロドラマの背景にすぎないということで。。。ちなみに俺は「メカ・ハインツ・バースト」は大変大変気に入りまして、あぁこの路線で、もっと真剣に組み立ててほしいのに〜!と思ったりもした。泣ける話なんて他にいくらでもあるんだから、もっとガキんちょ心をくすぐってくれよ!という客の勝手な欲望として。。。とまぁ文句ばかり書きましたが、70点というのは普通にそこそこおもしろいし、これくらいがいちばん文句言いたくなるんだよねー。でも、一方で終盤、客席からすすり泣きとかも(鼻水かもしれんが)聞こえてきたから、観客っていうのは、自分が泣くのに必要な要素を勝手に汲み取って泣いてくれるから有り難いですよねーと思ったり。ほんとスレた観客ですいません。あと、俳優さんのお芝居はほぼほぼみなさんとっても個性的で退屈せずおもしろかったです。まだまだ上演は続き、席もあるようなので、ぜひ確かめに行ってみてください。