2015年2月10日火曜日

映像の闇鍋

「さらば、愛の言葉よ」
おそらく、ゴダールが3D映画を作った!という話題性もあって日本公開にこぎつけた本作。客入りは厳しそうだけど、作品は最高でした!俺はこの監督のゴダールって、まさに映像の闇鍋奉行だなと…普通のごった煮を超えて闇鍋。箸で何を摘まんでいるのかわからないくらいにドキドキ。だから、通常の物語映画にあるような説明カットがない、とか、ハイセンスな映像コラージュが展開する、とかいう以上にラジカル。3D映像の特性を好き放題使った闇鍋、きみにこれを食べる勇気があるかい?と問いかけてくるというか…

映像表現の一般論で言うと、3D映像というのは空間の奥行きや距離感、被写体の立体感を強調するので、いわゆる「詩的映像」になりにくいのです。たとえば「深い霧の中に浮かび上がる古城」なんていうと詩的映像の典型例だったりしますが、それは見る者の対象との距離感を曖昧にして、一枚絵として完結するからですね。しかし、その古城の立体感が強調されるとなると、詩的にはならないかわりに迫力や緊張感が増す。闇鍋奉行のゴダールはそんな3D特有のアンチ詩的映像と、3Dカメラの特性を利用した独特の形態感覚や色彩感覚を織り交ぜて新しい映像体験を準備した、というわけです。

だから、素直に「美味しいね」とは言える人は少ないかもしれない。なんか喰ったことない味だな?ほんとに喰えるのか?なんだよこれ?みたいな感じ。変な度胸と好奇心だけはあるという変わり者にはこれほどのご馳走はないのでありますが…