2015年3月13日金曜日

映画とは何か

アンドレ・バザン著、野崎歓ほか訳、岩波文庫、1,020円
おおぉ!
1970年代に出た初訳版は入手が難しい上、翻訳もあまり良い出来ではないと聞いていたので、名著中の名著、待望の復活である。今後、映画批評に興味がある、映画論を学びたい、というなら、本書なくしては始まらないはずだ。
俺も、映画を作り始めると、何をどう撮るかみたいな製作の問題と映画とは何かという批評の問題が二重の螺旋階段みたいに絡まりながら頭の中を駆け上がったり、躓いて転げ落ちたりするので、頼もしい書物になってくれるかもしれない(実際、バザンの批評活動はヌーヴェルヴァーグに多大な貢献を果たした)
たとえば「映画言語の進化」と題された章は、次のように始まる。

「1928年、サイレント芸術は絶頂にあった。トーキーによって映像のこの完璧な理想郷が破壊されようとする事態を前にして、最良の監督たちが絶望に駆られたのは、正しいこととはいえないにせよ、理解できることである。当時映画が向かっていた美学的な方向性において、映画は沈黙という「甘味な制約」にこのうえなく適した芸術となっていると彼らには思えたのである。それゆえ、音声のリアリズムはその芸術をカオスに投じる結果しか招かないと考えられたのだ」

さすがフランスの物書きはエレガントに語る。まさに「絶望に駆られ」て七転八倒する俺など、その語り口だけでなにか救われるような気もする…(少し褒め過ぎか?^^;)
今日、本屋で見つけて驚喜したが、下巻も近々に刊行されるらしい。
いやぁ嬉しいなぁ。