2015年4月4日土曜日

恐怖分子、再見。


恐怖分子、エドワード・ヤン、1986年
渋谷のシアター・イメージフォーラムで、エドワード・ヤンこと楊徳昌の「恐怖分子」を再見した。以前見たのが中国語字幕のDVDだったので、そうか!こういう物語だったのか!という発見も多々あり。しかしこの映画、ストーリーのわかりづらさでも有名だから、どのみち2回くらいは見ないと厳しいのかもしれない。

ちなみに、俺はこの作品を、エドワード・ヤンがサスペンス映画の枠組みの中で、都会の凍り付いた空気を描きながらショットの強度を探求したというふうに理解した。だから、ジャンル映画ないし娯楽映画としてはやや愛想がないというか、物語をもう少しわかりやすく語ることもできるんじゃないかとは思った。ただまぁその一方、まさにこれが映画だ!という感覚にビンビン痺れさせてくれるので痛し痒しではある。
イメージフォーラムの地下の階段
むろん、カップルがケンカ別れするシーンにプラターズの「煙が目にしみる」というロマンチックな音楽を流したり、カメラや写真の小道具としての使い方もロマンチックだし、映画の細部には人々の愛や友情、台湾という土地の叙情をさりげなく描き込み、エドワード・ヤンならではの作品としてまとまっている。だから「恐怖分子」が暴力的で陰惨な物語を語るにもかかわらず、その後味はけっして悪くない。たとえば、アメリカならコーエン兄弟だったり、ヨーロッパならミヒャエル・ハネケだったりと比べるなら、これは欧米とアジアの違いかもしれないとも思うが、それならその意味でも、エドワード・ヤンはアジアを代表する映画作家と呼ばれるべきだろう。

しかし、それにしても「恐怖分子」の次に手がけた「クーリンチェ少年殺人事件」が見られるようにならないと、楊徳昌映画の心臓が迷子になったままという気がしてならない。今日のイメージフォーラムも満員に近かったし、機は熟している。期待しよう!