2015年4月6日月曜日

ラブバトル

20年以上新作を見ていない上に、ジャック・ドワイヨン70歳の作品らしいので「彼も老いたな」という感想になってしまわないかと心配しつつ映画館へ向かった。が、とんでもない!めちゃくちゃおもしろかった!

俺の理解するところでは、これは男と女の肉体的なケンカから肉体的なセックスに移行する過程をいかに自然にスムーズに見せるか、という映画であり、しかも、それを物語によって説明するのではなく、主に身体的なアクションを通して表現する、というのがこの作品に与えられたミッションである。

だから、一見、即興的なケンカの演技が延々展開するが、おそらくは入念なリハーサルを重ねて練り上げたものだろう。一般的にみて、ケンカというのは心理的な反発や乖離をともなうものであり、セックスというのは心理的な接近や結合をともなうものだが、身体運動的には強度の差があるにせよ、どちらも似たり寄ったりなので、これはなかなかおもしろいアイデアだと思う。

そして、このケンカバトルをセックスの前戯として位置づけるなら、100分の上映時間を通して、ずっとセックスしかしていない、という映画でもある…

にしても、この映画の男と女の闘争は見る者を飽きさせない。たとえば、リビングルームで男が女をソファにぶん投げると、その着地の勢いでシャツがはだけ、片方の乳房が露出してしまう。それに気づいた男がスッとシャツの端を降ろして隠してやるのだが、その気遣いに女は反抗し、みずから胸をはだけてしまう。いやぁ、たしかにバトルしている!

また、この映画が軽快なリズムを刻んでいて、深刻な心理劇に陥っていないのも素晴らしい。心理劇自体は映画よりもむしろ文学の得意技ではないか、と考えるからである。