2015年7月26日日曜日

檄と泉


会田家「檄」
現在、東京都現代美術館で開催中の企画展「ここはだれの場所?」に行った。会田誠が家族とともに、それぞれに考えた檄文を6mの布に墨文字で書き付けた「檄」、会田誠自身が主演する「国際会議で演説をする日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」の2作品が観客のクレームによって撤去を要請されたと報道され、撤去されるならその前に見てみたいと清澄白河まで出かけた。「檄」も「男のビデオ」もユーモアたっぷりの作品だ。撤去要請に関してはまるで根拠なし。ふざけんじゃねぇ!としか思わないな。

そのとき見た常設展「戦後美術クローズアップ」も望外におもしろかった。単なる美術史的なセレクションにとどまらず、「戦争」や「戦後」の意味を問いかけるような構成になっていたと思う。

たとえば、遠藤利克「泉」(1991年)という作品は、長さ約19m直径95cmの巨木を焼いたもので、その中軸を円形にくり抜いてある。美術館の展示室には他の作品もあり、時にタールの匂いに誘われ振り向くと、あらためてこの黒く輝く抽象彫刻に気づくことになるのだが、その存在感に圧倒される。抽象的とはいっても馴染みのある樹木が黒焦げになって倒れ、しかも、その中心を失っているのだ。深く言葉を失う体験である。