2015年8月22日土曜日

「黄色い月」の劇的空間

2015年8月20〜23日、東京・日本芸術専門学校大森校劇場
『黄色い月』のアクティングエリアは正方形。3次元で考えると高さは地面の縦横ほどではないので立方体とまではいかなくて、いわば直方体を基本としている。その物理的立体空間を、上演開始と同時に、こんどはドラマツルギーを生みだす劇的空間として分割、分離、結合、総合するというような有機的再編を繰り返し、その空間造形のプロセスに俳優の台詞や身体の運動がリズムを与えながら物語を編んで行く。約90分間、4+1人の出演者がそれぞれ空間造形の役割を失うことはほぼ皆無であり、その流動的構造の自由自在なメカニズムにちょっと嫉妬を覚えた。なぜなら、こうした空間造形の妙は映像表現ではなかなか達成できないからだ。単純に考えて、映像で同じことをやろうとするとパンや画面分割や細かな編集が必要になるわけだが、あまりに映像の話法は不自由である。そのことを痛感させられた。だからこそ、巣山賢太郎演出の『黄色い月』がどれだけ端正なルックをもっていたとしてもそれは映像的ではなく、まさに舞台芸術的な造形作品なのだと思う。