2015年12月27日日曜日

奪還者&クーデター

新文芸坐さん、今年もありがとう!
『奪還者』はバイオレンス・アクションにロードムーヴィーを混ぜ合わせたような作品で、ガイ・ピアースとロバート・パティンソンの道中記としても、とても魅力的だった。が、いかんせん、サウンドトラックが好きになれない。銃声が生硬で暴力的すぎるし、全体的に余計な音を付けすぎていて音空間が汚らしい。挿入される楽曲もパッとしない。俺は途中から耳に手を当て、自主的に音量を下げながら見ていた。むろん、すべては貧困と暴力に彩られた世界だからという理由があるのかもしれないが、その理屈はおかしいと思う。音にしろ映像にしろ人を惹きつけて、もっとよく聴きたいもっとよく見たいと思わせる工夫がなければ、映画芸術の「表現」にはならないからだ。一方『クーデター』はハラハラドキドキ指数でいえば今年ピカイチだった。が、どうなんだろう?クーデターの勃発した東南アジアの某国で、アメリカ人家族が暴徒の魔の手から逃走するという設定だから、映画の半分はその国の暴徒が描かれることにもなった。が、あのような「狂犬の群れ」にすぎないというだけの描写では結局、欧米的語り口の傲慢さが炙りだされることにはならないだろうか?劇中、ピアース・ブロスナンが「自分たちが汚い商売をやったのが悪いんだ」とかなんとか欧米側としての自己批判を口にするが、それもセリフによって描写不足を取り繕っているようにしか映らないのである。