2016年9月27日火曜日

となりのイスラム

内藤正典 著、ミシマ社、1,600円+税
イスラムへの偏見をなくそうという強い意志を感じる好著。中高生でも読めるよう書かれた平易な語り口が著者の現実的な危機意識に重なるように響いてくる。そういえばこの夏も、仏ニースの海岸で、イスラム女性がブルキニと呼ばれる水着を強制的に脱がされたという事件が話題になったが、こうしたイスラムへの「敵意」は、2001年9・11のテロをきっかけに急速に強まったという。以後、アメリカの仕掛けたイラク戦争をはじめ、長期化する中東の内戦や難民の爆発的増大、世界規模でのテロリズムの危機など「イスラム」の問題を避けて通ることはできない。事態がここまで悪化したその根底にはイスラムへの無知があるというのが著者の見解である。イスラム文化はたしかに欧米とは異なる価値観をもつが共存できないものではまったくない、むしろ、というふうに語られるイスラムの本質論や実際のイスラム教徒たちの肖像は、われわれ日本人の固定観念を払拭して余りあるし、なにより人間味にあふれ、感動的ですらあると思う。

2016年9月22日木曜日

トーマス・ルフ展

ma.r.s.
多彩なテーマを扱っている写真展でしたが、いずれもタイポロジーの考え方をベースに、写真ならではの映像のスケールコントロールを駆使した作品群。脳と視覚を揺さぶり、人間の世界認識を問うているのだと思います。《ma.r.s.》のような大型写真で官能的なスペクタクルを見せたり、《press++》の展示のように小さな報道写真を様々な用途に使用した痕跡ごと拡大して、写真の社会的影響力を考察してみたり。
press++
個人的に好きだったのは《nudes》かな。インターネット上に流布するポルノグラフィを拡大すると同時に曖昧な一般的イメージに肉薄するくらいボカしてしまうことで、視覚的欲望そのものの輪郭を浮かび上がらせようというか。
nudes
にしても、この女性のヌード写真の実物を見ると、色調がほんとうに絶妙なバランス感覚で仕上げられていて素晴らしかった。もし俺が、今回の展示からなにか一点買うとするなら、これを選びます。
nudes
nudes》の他の作品は、こんな感じ。俺のスマホがエロスにビビり、手振れを引き起こしているわけではないのです。
Tomas Ruff / SERIES
ところで、帰りに図録を買おうかどうしよう迷ったあげく、別の本を買ってしまった。図録の出来も悪くなかったんですが、こちらの写真集の印刷が紙質含めて素晴らしく、光沢の強い美しい仕上がり。これを見れば、これはこれで作品鑑賞したことになるよな〜と思ったので。
*「トーマス・ルフ展」は京橋の東京国立近代美術館にて、2016年11月13日まで。

牯嶺街少年殺人事件

エドワード・ヤン(楊德昌)の『牯嶺街少年殺人事件』が今年の第29回東京国際映画祭でのプレミア上映を経て、およそ25年ぶりに劇場公開されるという。最近、米国のクライテリオン社からBlu-rayがリリースされたので、日本での再公開もそう遠くはないだろうと思っていた。ぼくは1991年の第4回東京国際映画祭で3時間版を見て、4時間版のビデオも1回見たかなぁ。当時は、映画雑誌の編集に関わっていたので、身内の評価は抜群だったが、興行成績はパッとしなかった。エドワード・ヤン生誕70年、没後10年の来年、2017年こそは、A Brighter Summer Day 元年となってもらいたい。

2016年9月19日月曜日

ベアゲルター

沙村広明 著、講談社シリウスKC、600円+税
やばい。これ、好きすぎる。今いちばん好きな漫画は、この『ベアゲルター』かも。「情慾(エロス)と暴力(バイオレンス)の完璧な融合…これが〝叛逆ずべ公アクション〟だ!!」なんてキャッチコピーが付いている。とにかく絵が良い。エロチックな肉感や陰影の効果、微細な表情のドラマ。コマ割りも良い。アクションの切れ味、スピード感、ダイナミズムに痺れる。世界観も登場人物もストーリーもまったく文句なし(B級ノワールの物語世界はもはや古典である)。沙村広明の『無限の住人』は以前少し齧ったものの、なんとなく乗り切れなかったんだよなぁ。『ベアゲルター』にはもうぞっこん。だが、悩ましいことに、現在、第2巻まで出ている1巻と2巻の間が、2年以上空いているのだ!うむむ。( ̄◇ ̄;

2016年9月18日日曜日

戦後入門

加藤典洋 著、ちくま新書、1,400円+税
戦後史の問題を鳥瞰できる本が読みたくて手に取ったのだが、期待以上の好著。「原爆投下」という事件が「戦後日本」の政治的空間を準備したという加藤の見解は、今までほとんど意識してなかったので目から鱗だった。仮に、原爆が落とされなくても日本の敗戦は動かなかったわけだし、原爆には「戦乱期の悲劇」という以上のイメージをもっていなかった。しかし、そんな戦争の結果とは直接関係のない剰余の破片にこそ戦争の本質がより純化したかたちで現われるのかもしれない。加藤は、第二次世界大戦の「連合国」と「枢軸国」の対立に、たとえば「自由主義」vs「全体主義」というイデオロギー対立を見てとることへの疑義を呈する。そういった図式は事後的に考え出されたものではないのか?善なる自由主義と悪なる全体主義の戦いならば、国益の調停手段としての戦争ではなく、一方的に悪を成敗する戦争として語ることができるからだ。お前らが悪い!原爆を落とされたからって文句を言うな!無条件降伏せよ!というわけである。また、こうした戦争論を洗い直して現代政治への提言を行うのが本書の真の狙いであり、戦後日本の政治思想分析などもきわめてアクチュアルでおもしろい。予備知識なしで読み進められるのも最高だ。

2016年9月9日金曜日

ジーンズの替え時。2

先日の続報。前回のエントリーに写真を載せた2本は処分。他に、もう1本、お尻が破れている以外わりとキレイなものがあったので、東武練馬のイオンのリフォームショップに持ち込んだところ、4,000円の費用がかかるとか。ユニクロのジーンズって3,900円だし、まぁ断念。後日、池袋にある別のお店にダメもとで聞いてみたところ、そこは1,600円だというので、リフォームしてもらいました。上の写真が仕上がりですが、ジーンズだったら味のある掠れにしか見えないし、満足です。
内側から見るとこんな感じ。デニムの生地を当てて補修した模様。いいんじゃないでしょうかね。ただ、お尻全体が磨り減っているので、延命措置程度にしかならないかもしれませんが。

2016年9月5日月曜日

ジル・ドゥルーズの「アベセデール」

國分功一郎 監修、KADOKAWA、8,700円+税
すでに1年前に発売されていたが、なにせこの値段、カードのポイントを貯めてようやく買いました(笑)。これはドゥルーズがABC順のキーワードについて語りおろした哲学談話の映像をDVD3枚に収めたもので、彼は、自分の死後なら公開してもいいという条件で撮影を引き受けたらしい。ドゥルーズという哲学者はポートレートすらあまり流通させない人で、だから、俺は彼の講義が聴きたいというよりも、むしろ、生きて、喋って、動いている映像そのものが見たかった。なので、まだAの「動物(animal)」しか見ていないけど、けっこう満足。とはいっても、語りもおもしろいね。物書きと動物は似ているんじゃないですか、みたいな話を振られると、自宅の飼い猫が死んだ時のエピソードを交え、動物のために、動物に向けて書いているといえるが、動物の代わりに書いているともいえる。死にゆく動物に代わって書くのだ、なんて、現実のような空想のような、自由な語り口がたまりません。

2016年9月3日土曜日

ジーンズの替え時。

これ俺がいつも履いてるユニクロのジーンズなんですが、だいぶ良い感じにダメージドになってきました。あ、もちろん、自然劣化です。ただ、俺、チャリ移動が多いのでお尻もだいぶやられるんですね。時々サドルの頭がケツにひっかかったりして、さらに破れが広がったり。で、結果、もう残りの寿命は短いのです。うむむ。にしても、最近伸縮する生地のジーンズも増えていますが、あれはいけませんね。気持ち悪い。ユニクロも普通の生地のやつで黒色のバリエーションがなくなったりしていて、どうしよう?と思っています。チャリ生活は消耗も激しいので、高いの買えないし。うむむ。