2016年9月22日木曜日

トーマス・ルフ展

ma.r.s.
多彩なテーマを扱っている写真展でしたが、いずれもタイポロジーの考え方をベースに、写真ならではの映像のスケールコントロールを駆使した作品群。脳と視覚を揺さぶり、人間の世界認識を問うているのだと思います。《ma.r.s.》のような大型写真で官能的なスペクタクルを見せたり、《press++》の展示のように小さな報道写真を様々な用途に使用した痕跡ごと拡大して、写真の社会的影響力を考察してみたり。
press++
個人的に好きだったのは《nudes》かな。インターネット上に流布するポルノグラフィを拡大すると同時に曖昧な一般的イメージに肉薄するくらいボカしてしまうことで、視覚的欲望そのものの輪郭を浮かび上がらせようというか。
nudes
にしても、この女性のヌード写真の実物を見ると、色調がほんとうに絶妙なバランス感覚で仕上げられていて素晴らしかった。もし俺が、今回の展示からなにか一点買うとするなら、これを選びます。
nudes
nudes》の他の作品は、こんな感じ。俺のスマホがエロスにビビり、手振れを引き起こしているわけではないのです。
Tomas Ruff / SERIES
ところで、帰りに図録を買おうかどうしよう迷ったあげく、別の本を買ってしまった。図録の出来も悪くなかったんですが、こちらの写真集の印刷が紙質含めて素晴らしく、光沢の強い美しい仕上がり。これを見れば、これはこれで作品鑑賞したことになるよな〜と思ったので。
*「トーマス・ルフ展」は京橋の東京国立近代美術館にて、2016年11月13日まで。