2016年10月1日土曜日

シン・ゴジラ

第一に、ゴジラが抜群に素晴らしかった。意表を突く変態のプロセスといい、咆哮する獣を象ったグロテスク造形といい、メルトダウンした原発を思わせる禍々しい輝きといい、特撮美術のひとつの達成を見せてくれた。都市の破壊描写も、『巨神兵東京に現わる』からまた一歩進化したのではないか。第二に、偏執的なまでの「国策映画」と化すことで現代日本のリアリズムを担保したアイデアの勝利。アメリカとの隷属関係を暴露しているようにも見えたりして楽しい。ただ、この辺りのおもしろさは日本国外では冗長な表現に受け取られてしまうかもしれない。第三に、膨大なキャストを捌きつつ細かなキャラクターまで味付けされた物語世界。人間ドラマに深みがないという批判を聞いたことがあるが、そんなもの要らないくらい細部に密度があった。初見では消化しきれないし、見直したくなる。…良かったと思うのはまぁこんなところかな…ちょっと不満だったのが、サウンドトラックの完成度。エヴァンゲリオン風のビートの効いた音楽はテンションを上げてくれるし、悪くはないものの、全体的にはもっと洗練させることができたのではないか。特に、これはもしかしたらプロダクションではなく劇場固有の問題かもしれないが、台詞のサ行が耳障りなノイズになってしまっていたのは残念。