2016年12月4日日曜日

フォルケフィエンデー人民の敵ー

雷ストレンジャーズの『フォルケフィエンデー人民の敵ー』を見た。ヘンリック・イプセンの戯曲のやばいほどのアクチュアリティもさることながら、舞台を活性化するやり方も最高だった。出ハケはすべてシアターΧの客席通路を使い、台詞も喋ったりするから、このけっして狭くはない劇場全体を使い切り、時に走り、時に歩き、立ち止まり、時にはチャリにまたがって行き来することも。さらに彼らは物を運び、足下に躓いては転んで荷物をぶちまけ、狂騒的なドタバタに乗って熱い言葉を吐きだす。寺十吾演じるストックマン博士はまるで暴走特急のように怒りをエネルギーに変え、とどまるところを知らない。なぜなら、彼の敵は彼の家族以外の町全員なのだから。町長はこれでもかというくらいの悪漢丸出しだし、最初は正義面して応援するとのたまった新聞記者たちも手のひらを返したように博士を裏切る。その様子はさながらプロレスのタッグマッチを見るようでもあり、劇場全体に渦巻くような闘争心と疾走感とを呼び起こすのだ。俺は初めての『人民の敵』体験だったので細かな台詞はかっ飛ばすように見てしまったが、それでも、劇中やや唐突にも感じられるような「故郷よ!」という(たぶん船乗りの男の)叫びは、その異物感を含めて、すごくカッコ良かった!その言葉の響きが、われわれの生きるこのクソッタレな世界でいかに戦うかということを教えてくれるような気がしたからだと思う。