2017年1月14日土曜日

波よ聞いてくれ 1

沙村広明 著、講談社、590円+税
いやぁ、おもしろい!

札幌のとあるカレー屋のバイト店員25歳女が、ひょんなことから地方ラジオ局のパーソナリティとしてデビューすることに。お話自体はどってことないが、沙村の画力、細かな演出、物語のリズムがすばらしい。描こうとする世界を隅々まで把握し、ドラマを活気づける会話劇の、テンポの良い構成などもう手練手管だねという感じ。

読んで元気が出るのも良い。修羅場に次ぐ修羅場という展開の中、登場人物たちはみな曲者であると同時にどこか楽天的なキャラクター、ちょっと地に足が着いてないともいえるが、その浮遊感が心地良い。その浮遊感がドン詰まりの人生を推進させるのだ。フィクションってやっぱりこうあって欲しいよねという、低周波なコミカル基調にシリアスな破片が入り混じったようなバランス感覚…

第1巻の名台詞はやっぱりこれかな。

「さ!涙も涸れたし、戦場に戻るか」

現在、第3巻まで出ていて、まだ第1巻しか読んでないけど、読み終えるのが惜しい。のんびり読み進めます。