2018年5月16日水曜日

血の轍

押見修造 著、小学館、552円+税
押見修造の漫画は初めて読む。第3巻まで読んだ。驚いた。本作に登場する、若く美しい母・静子と中学2年の息子・静一との間には、一種のオイディプス的関係が結ばれている。簡単に言うと、静一はマザコンであり、静子はそのマザコンを解消するどころかむしろ強化しているようにみえる。なので、この母子の日常には不穏な性的雰囲気すら紛れこむ。その結果、静子はとある事件を引き起こし、その後の彼女は情緒不安定な言葉や表情や凶暴さの片鱗をちらつかせるようになる。一方、母の事件を自分と切り離して考えられない静一は出口なき苦悩の牢獄に囚われてしまう。…と、既刊分の概略はそんなところだろうか。日常生活の中にエロティックな心理を刻む画力に加え、その物語の残酷さに戦慄した。静一だけでなく読者の俺にも、この物語が救いのあるものになるとはとても思えないので、素晴らしい作品だが、読むのもしんどい。自分はこの続きを読むだろうか?わからない。ただ、ここに描かれる若き母の孤独は現代女性の肖像画のひとつであり、避けて通れぬわれわれの物語だとも思う。